【必見】個人事業主の経費と生活費の境目
本格的に確定申告シーズンに突入しました。
確定申告は、個人事業主として事業を行なっている方のみならず、年金受給者やサラリーマンのような給与所得者にも必要となるケースがあります。
事業をしている人や事業ほどではないけど副業による収入がある人は、
所得を計算する上で必要経費を収入から控除することができます。
また、独立したての方や独立を検討の方は以下の記事をご参考ください。
経費と生活費の境界線は?
近年では、働き方改革により兼業や副業を認める企業が増えたり、株式などの投資が容易になったりと、サラリーマンの方も給与以外の収入がある人が増えているでしょう。もし、給与以外の所得が20万円以下であれば確定申告は不要ですが、20万円を超えるような場合は、確定申告が必要となります。
この、所得20万円とは、収入金額から収入を得るために使った必要経費の金額を控除した金額のことをいいます。収入は取引の相手方に請求した金額なのでわかりやすいですが、必要経費は支払った経費の全額が必要経費として認められるとは限りません。
例えば、事務所兼自宅として借りている場合、賃借料の全てを必要経費にすることは難しいでしょう。賃借料をどのぐらい必要経費にできるかですが、基本的には賃借料の半分、それ以上となると仕事とプライベートを明確に分けた根拠が必要です。
このように、必要経費には不透明な面があるので、具体的に確認していきます。
必要経費の考え方
必要経費に算入される金額は、「収入を得るために直接要した金額(売上原価等)」及び「所得を生ずべき業務について生じた費用(旅費や消耗品費等の販売費及び一般管理費)」とされています。売上原価は、商品の売買をしている人なら商品の仕入代、飲食店をしている人なら食材や飲料の仕入代として明らかですが、販売費及び一般管理費は、本当に業務上必要な費用なのか、個人的に使用するための費用なのか判断が曖昧です。
例えば飲食店の場合、お店で提供する食材は材料として必要経費に算入できますが、自宅で家族で食べる食材は個人的に消費する食材です。この個人的に使用するための費用は、家事費といいます。
次に、この家事費を具体的に確認しましょう。
家事費とは
個人は、生活をするために収入を得なければなりませんが、支出のうち、生活に関する費用を家事費といいます。この家事費は当然に必要経費には該当しません。
ただし、取引の記録などに基づいて業務遂行上必要であったことが明らかに区分できる場合のその区分できる金額は家事関連費となります。
家事費か家事関連費か判断が困るものとして、家賃、電話代、ガソリン代、水道光熱費、消耗品費などが挙げられます。
家事関連費とは
上記のように、家事関連費とは家事費と必要経費の双方の性質を持つもののことです。所得税基本通達において、「その業務の内容、経費の内容、家族及び使用人の構成、店舗併用の家屋その他の資産の利用状況を総合勘案して判定する」とその考え方を示していますが、その判定は厄介です。
必要経費ではなく家事費と判断された例として、ロータリークラブや、医師が医院建築資金を銀行から借り入れる際に締結した生命保険契約に係る支払保険料は、家事上の経費に該当し、事業所得の金額の計算上必要経費とはならないとした事例があります。
この判断は、事業主個人の判断ではなく、その費用の性質や社会通念上の考え方に基づくものです。
家事関連の必要経費性
上記の通り、ロータリークラブの会費や個人の生命保険は、その性質上必要経費には該当しません。しかし、家賃やガソリン代、通信費などは、その費用が事業用のものか個人的な利用のものか判断がつきにくいものです。
これらの費用が事業用の必要経費として認められるかについての方法は、事業に使ったという根拠を示すことです。
家賃の場合、二部屋あるうちの一部屋を事業用に使っておれば家賃の半分が必要経費になりますし、ガソリン代は、事業用とプライベート用とに明確にわかるように走行距離や行き先のメモを残しておけば、事業用の部分を必要経費として計上できます。他にも、ブログなどで情報を配信している人なら、パソコンや携帯代、情報の配信に使った本や道具、材料などは必要経費と認められる可能性が高いでしょう。
少し面倒ですが、領収書に使用目的を記入することにより、税務調査で指摘を受ける可能性が低くなります。家事関連費として判断が困るものは、どのような目的に使ったのか、あらかじめ根拠を示しておきましょう。
また、事業と生活費の基準がわからない、事業性を証明する方法がわからないなど、お悩みでしたらご相談ください。事業規模や実際の仕事とプライベートの割合などをお聞きして、適正な案をご提案します。
どの方法が有効かは個別的な判断が必要であり、税法は複雑で入念に検討する必要があります。
この記事に関心がある方は、お付き合いのある税理士に相談するか、
以下にてお気軽にお問い合わせください。
*この記事は投稿当時の法律に基づくものであり、独自の解釈がごさいますので、参考の際はご注意ください。
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