【前編】税理士の魅力って何?
12月は税理士試験の合格発表の時期ですね。
税理士試験は、8月に試験が行われ、合格発表はだいたい12月中旬頃です。
合格発表までがなんせ長い!!
毎年、合格ボーダーラインのちょい下ぐらいだったので、この4ヶ月のモヤモヤが半端ない。
しかも税理士試験は科目合格制なので、その年に合格しても次の試験が待っている状況で、まさに喜びもつかの間って感じです。
特に最初に簿記論が受かった時の感想は
いばらの道に踏み込んだか…
って感じです。
そんな税理士試験も受験者数が減っている状況です。
その要因は少子化、科目合格制に伴う受験期間の長期化など様々でしょう。
受験者数が減っているのは少なからず税理士の魅力も下がっているのでしょうか。
ただ僕にとって税理士の資格は目指したときは魅力的でしたし、実際税理士になってみてこの資格程人生において役立つ仕事はないなと実感しています。
そこで、今回は税理士に興味がある人、現在勉強中で税理士を目指している人に向けて、少しでも参考になればと思い、僕が思う税理士の魅力を記事にしたいと思います。
*ここからは、個人の感想です。
税理士の仕事とは
税理士ってどんな仕事なん?儲かるん?会計士とどう違うん?
よく、こんな質問を受けます。
税理士は個人や法人の税金を計算する仕事で、会計士は大企業をメインにその企業の会計処理が適切かを監査(確認)・報告する仕事で、税理士が儲かるかどうかは知らん!その人次第!
と答えています。
日本で生活する限り税金はつきまとってきます。
例えば、
働いたら所得税
万馬券を当てたら所得税
起業・開業したら所得税・法人税
財産をもらったら贈与税
財産を相続したら相続税
物を買ったら消費税
ゴルフをしたらゴルフ場利用税
家を買ったら不動産取得税・固定資産税
あげていったらキリがありません。
特にこの仕事をしていると、ヒト・モノ・カネの動き全てに対してどこかで税金が発生するねんなと実感します。
その中で、自分の税金がいくらになるのかわからない人が、税理士に税金の計算を依頼するといった感じです。
基本的にサラリーマンは勤め先の年末調整で税額が確定していますし、家を購入したら購入後不動産取得税の通知が来て、毎年固定資産税の通知が来ます。
ですので、基本的には税理士の出番はありません。
しかし、事業をしている人や法人には年末調整をしてくれる人はいませんので、1年の儲けに対して自分で申告をして税金を決めなければなりません。
土地を相続して相続登記をすれば税務署から相続税申告のお尋ねが来ますが、自分が相続税の申告をする対象なのか、相続税の計算はどうやってするのか、この土地は財産としてはいくらなのか、自分で計算して決めなければなりません。
そのようなケースで税理士が登場して、納税者に代わって税金を計算することが税理士の仕事です。
また、税理士には税理士法により
税務に関する専門家として、独立した公正な立場において、申告納税制度の理念にそって、納税者の信頼にこたえ、租税に関する法令に規定された納税義務の適正な実現を図ることを使命とする。
税理士法第1条
と規定されています。
ですので、税務署の言いなりになって納税者が余分に税金を納めることは納税者の信頼に応えられていませんし、反対に納税者の言いなりになって納税者が納める税金が少なくなることは、独立した公正な立場に反しますし、どんぶり勘定でいい加減な申告をすること納税義務の適正な実現に反しています。
つまり、税務署寄りでもなく納税者寄りでもなく、税理士としての第三者の立場として、法律に則って適正に税金を計算することが税理士の仕事です。
しかし、税理士はサービス業ですので、納税者あっての税理士業です。
ですので、税理士として法律に則って納税者にとって一番有利になる方法を検討することも求められていると思います。
税金の計算以外に何をするのか
税理士の業務としては税金の計算をすることですが、先述したように税金の計算をするだけではサービス業としての差別化を図れません。
そのため、税金の計算以外にも付随業務として行うことがいくつかあります。
経営者に対する業務
法人や個人で事業をしている人の税金は、事業活動から生じる利益に対して課税されます。
ですので、その利益が生じる過程において、売上・経費が適正に処理されているのかを監査といった形で確認します。
また、その監査を通じて最終的な利益を予測して、予測した利益に対する税金を試算し、決算までにできる節税対策を提案します。
節税方法は、予測される納税額、事業規模、資金繰り、経営者ごとの経営方針や納税に対する考え方によって十人十色となっています。
特に経営者の考え方が重要で、節税が好きな経営者には様々な節税方法を提案する必要があるので、節税方法の情報収取が必要です。
節税にあまり興味がない経営者には何も提案する必要がないとは言いきれません。
なぜなら、節税に興味のない経営者も仲間内で節税の情報を聞くことがあるからです。
その情報が効果があるかどうかはともかく、節税方法を提案していないことに不満を持たれる可能性はゼロではないでしょう。
ですので、興味が無い相手でもクライアントとの関係維持のために何かしらの情報発信はしなければなりません。
資産家に対する業務
資産家の悩みの種は将来の自分の相続税です。
自分で築き上げた財産を子供に相続させる際、相続税を納められず財産を手放さなければならないこともあり得ます。
税理士は、そのような方々に対して、法律で許される限り相続税の対象となる財産を少なくなるよう事前に相続税対策を提案しします。
相続税対策は家族構成、財産構成、現金の有無等によって提案方法が異なりますので、相続税対策の手法も十人十色です。
特に相続の場合、家族間の仲や相談者の意思といったデリケートな部分がありますし、そのデリケートな部分が非常に重要ですので、そこを十分に考慮して様々なプランや起こり得る課税関係を提案する必要があります。
また、近年国は相続税や贈与税の優遇制度を作りつつ、徴収の強化にも取り組んでいますので、相続税や贈与税の改正が頻繁に行われています。
ですので、相続関連の情報収取も怠れません。
結局、毎年勉強しろってことですね。
税制改正の内容を把握することは税理士にとっては仕入みたいなものですので、当たり前のことですが。
つまり税理士はサービス業の一つなので、税理士の仕事は、毎年変わる税制改の内容を材料として仕入れて、その材料を各依頼人の好みに応じてオンリーワンなものを提供することかと思います。
なんか書きたいことを全部書いてしまうと、かなり長くなりそうだったので、いったん前編としてこの辺でまとめさせていただきます。
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