【後編】税理士の魅力って何?

前回、税理士の魅力について、税理士の仕事を中心に記載しました。

【前編】税理士の魅力って何?

税理士の仕事の一般的な内容が伝われば幸いです。

今回は、実際にこの業界で働いてみて感じた税理士の魅力を、知的財産の視点と実務経験の視点で伝えればと思います。

知的財産

税制改正

税法は毎年改正されます。

近年の身近で大きな改正は消費税が8%から10%・軽減8%になったことです。

誰でも普段買い物すると思うので、この改正はご存知でしょう。

一方で、所得税の基礎控除が38万円から48万円に、給与所得控除、青色申告控除が細かく改正されていることはご存知でしょうか。

たぶん知っている人は少ないでしょう。

サラリーマンの方であれば会社が年末調整をしてくれるので実感しないでしょうし、個人事業主の方はこれから確定申告をするのでその時に気付くでしょう。

令和3年度は大きな改正がなかったので特に知らなくても支障がないかもしれませんが、令和2年度改正では、居住用不動産の消費税の還付が制限されました。

この改正は、税理士は知っていて当然、知らない税理士はモグリですし、不動産オーナーは知らなくてもこの改正を知っている税理士とお付き合いをした方が良いでしょう。

また、未だに消費税の還付を受けれることをセールストークにしている業者がいるかもしれません。

このように、税制は目まぐるしく改正されます。

昨日まではセーフだった取引が、明日からアウトは日常茶飯事です。

特に、大きな節税効果を得られるスキームは厳しく改正されます。

税理士であれば、このような情報を改正の前の年12月に入手できますし、入手前でも、国税庁がどのような改正を考えているかの情報を調べることができます。

その改正による影響を想定して、事前にできることや改正後に行った方が効果が出るかをシミュレーションできるのは税理士ならではかと思います。

法律は読みにくい

消費税法第12条の3(一部抜粋)

その事業年度の基準期間がない法人(前条一項に規定する新設法人及び社会福祉法第22条(定義)に規定する社会福祉法人その他の専ら別表第一に掲げる資産の譲渡等を行うことを目的として設立された法人で政令で定めるものを除く。以下この条において「新規設立法人」という。)のうち、その基準期間がない事業年度開始の日(以下この項及び次項において「新設開始日」という。)において特定用件(他の者により新規設立法人の発行済株式又は出資(その新規設立法人が有する自己の株式又は出資を除く。)の総数又は総額の百分の五十を超える数又は金額の株式又は出資が直接または間接に保有される場合その他の他の者により新規設立法人が支配される場合として政令で定める場合であることをいう。以下この条において同じ。)に該当し…………

日本語ではないですね、

受験時代に思ったことでした。

今でも苦手です…

例えば、民法等の他の法律も非常に難解です。

試験勉強だけだと条文をどれだけ覚えるかになりますが、実務においては、法律条文だけでなく判例を読むケースもあります。

判例はもっと複雑です…

でも、ポイントを押さえたら読むことはできるので、何とか対応できます。

ですので、法律条文に対する苦手意識が薄くなることも、税理士になったメリットの一つです。

このように税理士として事業をすれば、法律や判例に触れる機会が多いので自分の知識が毎年蓄積されていきます。

でも、税理士になったから勝手に知識が蓄積されるわけではありません。

毎年の改正の対応、実務においての事例の確認、税務調査での対応、自己研鑚等、税理士が商売を行うことによって知識が蓄積されます。

ですので、僕個人的に思う税理士としての一つの魅力として、税金のスキームが増えていくことや一般的には滅多に触れることができない知識を当たり前のように触れることができることをお伝えします。

実務上の魅力

困ったことは専門業種に

税理士の収入源の一つは企業からの顧問料です。

企業の業種は何でもあります。

もし、生活に困ったことがあれば誰にでも相談できます。

・車を買う時はディーラーに

・家が壊れたら建設会社に

・おいしいご飯を食べたかったら飲食店オーナーに

・体調が悪かったらお医者さんに

このように、税理士の仕事をしていると様々な方と接することができます。

また、その方々を通して別の方との接点ができます。

相談するかしないかは別として、困った時に相談できる相手が身近にいることは心強いです。

クライアント以外のネットワーク

税理士にはクライアント以外にもネットワークがあります。

・法律問題は弁護士に

・登記に関しては司法書士に

・生保、損保は保険会社に

・土地探し、建設はハウスメーカーに

・投資に関しては証券会社に

このように、税理士のネットワークは幅が広いです。

基本的にはクライアントからの要望があって、専門家の方々に相談して一緒に解決することになります。

でも。個人的な相談も乗ってくれますので、このネットワークも非常に心強いです。

クライアントの行動が実体験になる

会社設立を検討中の方、お金を借りようと検討中の方、相続が発生した方、どのように手配したら良いか悩むかと思います。

手続きを進めていくにしてもスムーズにいかないかもしれません。

また、会社設立や融資の申込みのタイミングもいつがベストか悩むかもしれません。

税理士である自分が同様の分岐点に立った場合、スムーズにいきます。

なぜなら、クライアントに対して法人設立のタイミングを提案していますし、資金繰りのお手伝いもしているので事業計画書を作ることは難しくないですし、金融機関とのコネクションもあります。

相続が発生しても自分で相続税の申告をすれば良いだけですし、相続に必要な書類の準備は朝飯前です。

これらの経験は税理士の魅力になるかと感じます。

税理士の報酬が発生しない

副業の解禁により、今ではサラリーマンでも確定申告をする可能性があります。

今は全然成果がありませんが、このブログのアフィリエイト収入が上がってきたら僕も確定申告をしなければいけません。

投資で儲けたり、損失を翌年以降に繰り越したい場合も確定申告が必要です。

自宅や相続で取得した不動産を売却した場合も確定申告が必要です。

いざ、確定申告をするとしても、税法が複雑なのは上述した通りです。

確定申告を税理士にお願いする場合、税理士への報酬が発生します。

規模が小さいぐらいであれば自分で確定申告をできるかもしれませんが、副業の規模が大きくなった場合や不動産を売却した場合、株の取引きが多い場合、取引の複雑性や後々の過少申告リスク、費用対効果の観点からも、税理士に依頼する方が良い場合があります。

他にも、法人税の申告や相続税の申告も複雑です。

また、各税金の申告には期限がありますので、じっくり調べる余裕もありません。

そのために税理士がいます。

ただ、自分が申告する必要が発生した場合、自分で申告すれば済むので税理士費用が発生しません。

将来、自分が企業した場合、税理士報酬の費用を軽減できることは、税理士としてのメリットかもしれません。

まとめ

今回は、前編・後編に分けて税理士の魅力をお伝えしました。

ただ、どの仕事も同じですが良いことだけではありません。

その点も後々記事にできたらと思います。

でも、個人的にはマイナス要素を凌駕するほどのやりがいがあります。

税理士を目指している方で、この記事を試験のモチベーションにしてもらえれば幸いです。