【危険】その節税、大丈夫?節税のメリット・デメリット

決算が近づくにつれ、よくクライアントから今からできる節税方法はないか相談を受けます。できることなら余分な税金は納めたくないですよね。僕自身も、税理士を目指した理由の一つに税金を少しでも減らしたいと思っていたので、その気持ちはすごくわかります。

ただ、決算の直前となるとできることが限られますので、節税対策も事前の準備が必要です。また、この業界で仕事をして節税に対する考え方が変わり、疑問に思ったことがあります。

その節税の目的は何?

と感じたことが多々ありました。

そこで今回は、まず思いつく節税方法が正しい節税かどうか、キャッシュフローに着目して説明したいと思います。

節税の目的

まず、確認したいことがあります。

節税の目的は何でしょうか。

とりあえず税金は納めたくないのか、納める税金を少なくして会社にお金を残したいのかのいずれかと思います。この二つは、税金を少なくする点で似ていますが、実際のキャッシュフローで考えると大きな違いがあります。

会社とは営利を目的とする団体であり、利益を残してお金を残すことが大切です。それであれば、節税も大切ですが、節税しつつお金を残すことが理想的ではないでしょうか。では、二つの節税方法を確認してみましょう。

とりあえず税金を納めたくない場合

この場合、税金を少なくする方法は単純です。

経費を増やして利益を減らすだけです。

税金は、収入から経費を控除した利益に対して一定の税率を乗じて計算されます。法人税であれば法人税・地方税合わせた実効税率約30%、個人であれば累進課税で税率が異なり最大45%から最小5%の所得税と住民税10%が税率です。ですので、利益が少なくなれば税金も少なくなります。

利益を減らす方法としてよくあるケースは、決算前に消耗品を大量に購入することです。これにより購入した消耗品の分利益は減り、それに応じて税額も減ります。

しかし、注意が必要です。

会社のお金はどれだけ残っていますか?

決算前直前で利益2,000万円の法人を例に検討しましょう。

このまま何もせず決算を迎えた場合、利益2,000万円に対する実効税率30%の600万円を税金として納め、会社には1,400万円が残ります。

一方で、少しでも税金を納めたくないので税金200万円を減らすために決算直前に大量の消耗品を購入した場合、会社にはいくらのお金が残るでしょうか。

200万円分の税金を減らすためには、200万円÷実効税率30%の約667万円分の消耗品を購入する必要があります。これによって利益が1,333万円となり、利益1,333万円の実効税率30%が約400万円が税金になります。この場合、会社に残るお金は、当初の利益2,000万円から節税のために667万円使い、税金400万円を納めた933万円となります。

どうでしょう?

何もしなかったら1,400万円残ったのに、節税を考えて大量の消耗品を購入したら、会社に残るお金はの933万円になります。お金が残ることを考えれば、何もせずにに決算を迎え、会社に1,400万円残る方が良いですね。これが節税したのにお金が残らないからくりです。200万円の税金を減らした結果、手元に残るはずだった現金が450万以上減ることとなります。それなら税金も費用の一部と考えて、税金を納める方が得策です。

まとめてみると、

メリット

  • 将来使うであろう消耗品を大量に購入することができる
  • 税金が少なくなる

デメリット

  • 税務調査があった場合、将来使うであろう消耗品は、費用ではなく貯蔵品として資産とされる可能性が高い
  • 将来使うであろう消耗品は、実際に使うかわからず無駄な出費になる可能性が高い
  • 税金は少なくなったが、それに伴ってお金もなくなった

比較するとあまりオススメできません。でも、やっぱり納める税金は少ない方が良いですよね。

では、税金を少なくして会社にお金を残す方法を確認しましょう。

納める税金を少なくして会社にお金を残したい場合

上記で確認しましたが、税金を減らす目的のために散財すると、結果として手元の現金がなくなってしまします。

しかし、散財する方法が決して悪いとは限りません。

例えば、1年以内を目安に近い将来に購入予定の物や、修理したいと考えているものがあれば、決算までに購入や修理をして利益を減らすことは問題ないです。

この場合、購入予定の物は、少額(中小企業の場合は取得価額30万円までのものを最大300万円まで、大企業の場合は取得価額10万円まで。)にしないと償却資産として資産計上してなければならず、修理代については、その修理が原状回復ではなく機能向上が図られるものであれば資産計上しなければなりませんので、注意が必要です。

他にも、広告費として先行投資をしたり、従業員のモチベーションアップとして期末賞与を支払うことも一つの手段です。

特に、個人事業主の場合、法人と異なり累進課税によって所得が大きくなるにつれ税率が高くなりますので、近い将来の費用に対する支出は検討してみる価値があります。例えば、所得が900万円の人が上記の方法で100万円分の利益を減らした場合、900万円から100万円控除した800万円に対する税率23%から63万6千円控除した120万4千円が税金となり、手元に残るお金は約680万円となります。一方で、期末に何もしない場合、所得900万円に対する税率33%から153万6千円控除した143万4千円が税金となり、手元に残るお金は約760万円となります。差額にすると約80万円、住民税も考慮すると所得900万円と800万円の差額100万円の10%の10万円少なくなり、70万円しか違わなくなります。それであれば、今期は少し税金を減らし来期に節税商品を活用して、お金が残る対策を考えることもできます。

まとめてみると、

メリット

  • 将来使う予定の費用を当期の費用として税金を減らすことができる
  • 将来に向けての先行投資をしつつ税金を減らすことができる
  • 闇雲に散財する場合と比べてお金が残る

デメリット

  • 散財する場合より少ないけどお金減る

こうして確認すると、節税って簡単ではないですね。でも税金を減らすためだけではなく、ちゃんと目的を持って税金を減らすことが大切です。

まとめ

ここで挙げている例は、よくある決算直前の駆込みでの節税方法と言えます。節税としての即効性はありますが、あまり理想的ではありません。ちゃんと制度を利用した合理的な節税方法はたくさんあります。そのためには、記帳をしっかりして現在の会社の財務状態や利益を正確に把握する必要かあります。その上で、毎期の納税の予測を立てて、お金が出ていかない節税を検討しましょう。

具体的な節税方法は、次の機会にしたいと思います。

今回は、自分がこの業界で働く前と働いてからのお金の考え方を記事にまとめてみました。このような記事は他の税理士の方もよく記事にしています。

目の前の税金に捉われず、内部留保として会社に資金を残す方法を検討しましょう。税金は稼いだ以上に納めることはありません。節税に興味のある経営者の方は、是非ご参考ください。

どの方法が有効かは個別的な判断が必要であり、税法は複雑で入念に検討する必要があります。

この記事に関心がある方は、お付き合いのある税理士に相談するか、

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*この記事は投稿当時の法律に基づくものであり、独自の解釈がごさいますので、参考の際はご注意ください。