【相続編】生命保険を活用した節税方法

「生命保険の保険金って相続税の対象外ですよね?」

 

相続税の申告をしていて必ず質問されます。

答えは、

Noです!!

 

厳密には、契約内容により課税・非課税の扱いが異なります。

今まで相続税の申告をしてきたなかで、生命保険金の非課税の枠を上手く活用できているケースはほぼゼロでした。

生命保険自体は万が一に備えることが目的で、生命保険を活用した節税は優遇措置なので活用できていないことが悪くないとは言えませんが、

相続税の相談に来られた方は生命保険金は全て非課税と勘違いされていますが、いざ蓋を開けてみると相続税の非課税制度を活用しきれていないません。

納める税金をできるだけ低くしたいから税理士を目指した僕からみると、非常にもったいないですね。

そこで、生命保険を活用した相続税対策について確認していきます。

生命保険と相続税の非課税

相続税には、非課税となる様々な制度があります。

相談税版節税方法15選参照

生命保険の場合、500万円×法定相続人の数=非課税枠です。

つまり、法定相続人が3人であれば、3人×500万円の1,500万円について相続財産には含まれません。

仮に5,000万円の財産を法定相続人2人で相続した場合で比較してみましょう。

相続税の計算方法は[簡易版]相続税の計算方法を参照

・5,000万円全て現金の場合

5,000万円ー基礎控除(3,000万円+600万円×2=4,200万円)=800万円

800万円×10%=80万円が相続税となります。

・5,000万円のうち1,000万円は生命保険金である場合

5,000万円ー生命保険金非課税(1,000万円)ー基礎控除(3,000万円+600万円×2=4,200万円)=-200万円

相続税の課税対象となる財産が基礎控除を下回るので、相続税の申告不要!

このケースでは相続税が発生するかしないかで差が生まれますが、相続税の対象となる場合でも、現金を1,000万円持っている場合とその現金を生命保険1,000万円にした場合とでは、相続税の納税額が最大550万円もの差が生まれます。

生命保険の非課税枠を活用した場合としない場合で相続税が生じるか生じないかで大きな違いですね。

相続税が非課税とならないもの

生命保険金を活用した節税効果は非常に大きいですが、冒頭で述べたように生命保険によっては非課税枠の対象外になるケースがあります。

様々な保険金の通知書を目にしますが、保険金の合計は法定相続人1人当たり500万円を超えていても、非課税となる生命保険金の枠を使い切ったケースはあまり遭遇しません。

保険金の種類で確認すると以下の通りです。

・非課税になるもの

死亡保険金

剰余金、配当金など

前納保険料

・非課税にならないもの

入院給付金

生存保険金・特約還付金

遅延利息など

つまり、被保険者(被相続人)の死亡に伴って支払われる保険金が相続税の非課税の対象となり、被保険者が受取人の入院給付金は、被保険者自身の権利となるので相続財産に含まれます。

国税庁HP参照

この保険金はよく見ます。

相続税以外の税金が生じるもの

上記のように、死亡保険金は相続税が非課税とされますが、契約内容によっては、同じ死亡保険金でも相続税以外の税金が発生してしますものもあります。

まず、保険契約には3人登場します。

  • 契約者(保険料を支払う人)
  • 被保険者(保険の対象となる人)
  • 受取人(保険金を受け取る人)

例えば、夫(契約者)が妻(被保険者)の万が一に備えて保険契約をし、子供(受取人)を保険金を受け取らすようなケースです。

もちろん3人とも同一人物になることもあります。

そこで、相続税以外の税金が発生するケースを確認していきます。

贈与税が発生するケース

契約者 妻

被保険者 夫(死亡)

受取人 子

このケースでは、妻から子へ保険金として贈与が行われたものとして贈与税が発生します。

所得税が発生するケース

契約者 妻

被保険者 夫(死亡)

受取人 妻

このケースは、保険金の発生事由は夫の死亡ですが、自分を受取人とする保険契約をしているため、その保険金は一時所得として所得税が発生します。

僕も、保険金の明細を見てこのようなケースに出くわしたことがあります。

どの保険契約が良いのか

生命保険の非課税を考えるた場合、

ズバリ

一時払い終身保険

の一択です!!

この契約は、契約時に保険料を一括で支払い、被保険者の死亡時に同額の保険金を受け取ることができます。

つまり、現金を1,500万円持っていると相続財産となりますが、法定相続人が3人であれば、その1,500万円を死亡保険金として契約しておくことにより、相続税が課税されませんので、相続税の対象となる相続財産を減らすことができ、相続税の納税資金を確保することができます。

ただし、年齢条件があります。

保険会社によって違いはありますが、だいたい90歳が上限です。

よく親の相続税対策についての問い合わせを受けるのですが、この方法を提案しても90歳を超えていて加入できなかったというケースがあります。

ですので、相続税対策は早めに越したことはありません。

自分の契約している生命保険のうち法定相続人一人当たり500万円の非課税枠が空いていれば、ぜひ加入しましょう。

まとめ

冒頭でも言ったように、生命保険金については相談者の方は保険金は非課税と思っているので、説明するときは驚かれますし、なんか申し訳ない気持ちになります。

また、節税のメリットのみを考えると、生命保険を活かしきっているケースに出くわしたことがありません。

生命保険を活用した節税方法は、保険料を払えるお金があれば絶対に活用すべきです。

ただ、この記事を見られた方の多くは自分が相続人となって調べていると思います。

既に相続人となってしまうと手の打ちようがありません。

ですので、相続税は早期の節税対策が重要ですし、既に相続人となってしまった方は、相続した相続財産で生命保険に加入すれば将来の自分の相続税対策になります。

僕も、相続税申告の説明を依頼者にする際、せっかく相続した財産を有効活用するためにも必ず提案しています。

また、依頼された相続税の申告では生命保険の非課税枠を活用できていなかったケースが多いので、ご理解いただいています。

この方法以外にも、生命保険を使った税金対策がありますので、後日記事にまとめたいと思います。

 

どの方法が有効かは個別的な判断が必要であり、税法は複雑で入念に検討する必要があります。

この記事に関心がある方は、お付き合いのある税理士に相談するか、

以下にてお気軽にお問い合わせください。

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*この記事は投稿当時の法律に基づくものであり、独自の解釈がごさいますので、参考の際はご注意ください。