【重要】孫や他人など法定相続人以外への相続のメリット

先日友人から相談を受けました。

「おじいちゃんが孫に自分の財産を譲ることってできるん⁇」

もちろんできます。

しかし、一般的な相続とは異なるので注意が必要です。

では、確認していきましょう。

相続税の節税方法一覧はこちら相談税版節税方法15選

相続できる人

相続財産を相続することができる人は、原則として法定相続人とされています。法定相続人とは、相続する権利を持つ人のこといい、民法で定められています。

では、誰が法定相続人になれるかというと、

  1. 配偶者
  2. 子ども(直系卑属)
  3. 親(直系尊属)
  4. 兄弟姉妹

の順番に法定相続人になれます。法定相続人になれる順番は、そのケースによって様々なので別の機会にしたいと思いますが、生前に何も対策をしていなければ相続財産は、原則法定相続人が相続することになります。兄弟姉妹が相続した場合、兄弟姉妹は二等親となりますので、相続税が2割加算されます。一方で、生前に遺言を作成して孫や第三者に財産を譲ることを明記することにより、法定相続人以外の人も相続することができます。

法定相続人以外が財産を相続した場合、注意が必要です。

孫などの法定相続人以外が相続した場合

法定相続人以外が相続した場合、相続税は原則2割加されます。例えば、法定相続人が相続した場合の相続税が1,000万円であれば、それ以外の人が相続した場合の相続税は1,200万円です。

しかし、孫が祖父から財産を相続したケースでは、その2割加算がされないこともあります。確認しましょう。

ケース1

被相続人:父、相続人:母、子供、孫

この場合の法定相続人は母と子供で、孫は法定相続人とはなりません。したがって、孫の相続税は、2割加算されます。

ケース2

被相続人:父、相続人:母、子供、孫(養子縁組した場合)

この場合もケース1と同様、孫の相続税は2割加算されます。しかし、法定相続人が一人増えるので、法定相続人分 万円が基礎控除から増えます。注意点としては、養子縁組をして法定相続人に加えられるのは最初の一人だけですので、闇雲に養子縁組をして基礎控除を増やすこてはできません。

ケース3

被相続人:父、相続人:母、孫

このケースは、被相続人の父が死亡する前に子供が死亡していたケースです。少ないケースですが、可能性としてはあり得ます。この場合、孫に発生する相続税は2割加算されません。

これを代襲相続と言います。

代襲相続とは、本来相続する人が死亡した場合、その相続する権利をその子供が引き継ぐことを言います。

ケース3のような場合は例外ですが、ケース1や2のように、わざわざ2割加算を受けてまで相続させる必要があるのかと思うかもしれません。

2割加算させてまで相続させる必要もあります。それはどんなケースか、確認しましょう。

法定相続人以外に相続させた方が税金面で有利になることがあります

なぜ、わざわざ2割加算をしてまで法定相続人以外に相続させる必要があるのでしょうか。

相続税は、相続が起こったときに発生します。

一般的に、被相続人が孫に相続させたい場合、相続税の申告を2回することになります。しかし、世代を飛ばして直接孫に相続させた場合、相続税の申告は1回となります。

例えば、資産10億円保有の資産家が死亡したケースで、相続税の試算をしてみましょう。

ケース1 順番に相続した場合

①父から子へ

10億円-(基礎控除3,000万円+600万円×法定相続人1人)=9億6,400万円

9億6,400万円×55%(税率)-7,200万円(控除額)=4億5,820万円が相続税となり、

相続税を納めて手元に残る資産は、10億ー4億5,820万円=5億4,180万円となります。

②子から孫へ

5億4,180万円ー(基礎控除3,000万円+600万円×法定相続人1人)=5億580万円

5億580万円×50%(税率)ー4,200万円=2億1,090万円が相続税となり、

孫の手元に残る資産は、5億4,180万円ー2億1,090万円=3億3,090万円となります。

ケース2 世代を飛ばして孫へ相続した場合

10億円-(基礎控除3,000万円+600万円×法定相続人1人)=9億6,400万円

9億6,400万円×55%(税率)-7,200万円(控除額)=4億5,820万円

4億5,820万円×1.2(2割加算)=5億4,984万円が相続税となり、

孫の手元に残る資産は、10億円ー5億4,984万円=4億5,016万円となります。

いかがでしょうか。

順番に相続するケースと世代を飛ばして相続するケースを比較すると、世代を飛ばして相続する方が手元に残る資産は1億円以上多くなります。

あくまでも、このケースは相続人の数を考慮しておらず、相続財産が増えることもなく減ることもない場合で試算していますが、手元に残す資産を考えると世代を飛ばして相続する方がメリットがあります。

2割加算を有効活用する方法

2割加算をしてまでも、世代を飛ばして相続するメリットは上記のとおりです。

しかし、デメリットとして、

  • 孫が若いから将来の状況が心配
  • 相続人が複数いると相続人同士でもめる可能性がある

といった不安があります。

2割加算をして相続する方法を検討する判断基準は、以下の通りとなっております。

法定相続人が兄弟姉妹の場合

被相続人に配偶者や子供がおらず兄弟姉妹に子供がいる場合、世代を飛ばして相続するのであれば甥や姪に相続することとなります。この場合、兄弟姉妹が相続しても、甥や姪が相続しても相続税は同じ2割加算ですので、甥や姪に相続する方が節税となります。特に兄弟姉妹の場合、親子間よりも年齢が近いので、次の相続もその分早くなる可能性が高いです。その点も考慮すると、2割加算の制度を活用することは効果的かもしれません。

基礎控除を利用して財産の一部を相続する方法

基礎控除は3,000万円+600万円×法定相続人です。法定相続人が2人の場合であれば、基礎控除は4,200万円ですので、その分は世代を飛ばさず、基礎控除を超える分は世代を飛ばして相続すれば、次の相続の時には基礎控除の範囲で相続することができますので、その基礎控除の分だけ節税になります。相続税の税率は、10%~55%の累進課税となっておりますので、多くの財産を持っている場合、基礎控除の約半分は節税することができます。

生前贈与と組み合わせて財産の一部を相続する方法

この方法は、基礎控除を利用する方法と似ているのですが、生前贈与にも贈与税が非課税となる方法があります。その方法は次の機会にしますが、生前贈与の非課税となる部分は世代を飛ばさず、残りの部分について世代を飛ばして相続すれば、節税効果は大きくなります。

早期に生前贈与をする

贈与税には2割加算といった制度はありません。年間110万円までは贈与税が非課税ですし、贈与税の非課税もあります。その点を考慮して、早期に生前贈与をして相続税を減らすことができます。

 

以上の方法は、あくまでも税理士が税金だけに着目した場合の考えです。実際の相続はこんな単純なものではなく、被相続人の思いや相続人間の関係性、財産の種類などによって複雑多岐にわたります。よく、「ウチは、家族間の仲が良いから心配ない」と思っていたのに、いざ万が一のことが起こったら相続争いになっていたといったケースもあります。そのようにならないためにも、専門家に遺言の作成を依頼するなど、対策を万全にしましょう。

税理士も遺言作成のサポートができます。お気軽にご相談ください。税金面も考慮したご提案をさせていただきます。

 

どの方法が有効かは個別的な判断が必要であり、税法は複雑で入念に検討する必要があります。

この記事に関心がある方は、お付き合いのある税理士に相談するか、

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*この記事は投稿当時の法律に基づくものであり、独自の解釈がごさいますので、参考の際はご注意ください。